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Vocal

日本歌曲協会 春のステージ2022

初演:2022年4月28日 @渋谷区文化総合センター大和田さくらホール

 

詩:橋爪 文 / Bun Hashizume

ソプラノ:日野 祐希 / Yuki Hino

箏:森 梓紗 / Azusa Mori

十七絃:長谷 由香 / Yuka Nagatani

 

【作品解説】

はじめて橋爪文さんの詩に出会ったとき、鮮やかに目に浮かぶ「色彩感」、自分自身を重ね合わせたくなる「言葉」の存在に惹きつけられた。いくつかの候補の中からこの「花」という詩を選んだとき、橋爪さんは「私の最もいろいろな思いがつまった詩を選ばれました。」とおっしゃった。「花」には、子供のころの美しい思い出、思い出すたびに辛くなることのどちらもが詠み込まれているという。お花見の頃、ござを持って家族で出かけた日、緑豊かで美しい近所の公園、きれいな川。広島を離れた後も、その土地で見る花それぞれに思い起こされる過去があったという橋爪さんのお話の中で、特に印象に残った言葉がある。

「同じ時代を生きた人がいれば話したい。でも、誰もいない。だから、『花』に話しかける。」この言葉を常に心に留め、作曲した。あらゆる「過去」をあたたかく抱きしめるような曲を作りたい。艶やかな美しさだけでなく、ひとひらごとに散っていく「さびしさ」、一心に咲き誇る「健気さ」、そして「儚さ」も表現したい。美しい花に隠された底知れぬ「孤独」に想像を巡らし、ひとつひとつの言葉に向き合った。記憶の中にある「花」は、決して色褪せることはない。

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